検察審査会の議決要旨(申立13号)

・・・本件は、今年になって2件目となる「不起訴不当」案件であり、且つまた「起訴相当」案件である。筆者はこれまで、延べ15年間にわたって検察審査会の議決要旨を観察・記録して来たが、これほど頻繁に不起訴不当が出てくるようになったのは、つい2~3年前からである。

----------------------------------------------------------

令和2年 横浜第三検察審査会審査事件 (申立)第13号

申立書記載罪名:住居侵入、準強制性交等
検察官裁定罪名:住居侵入、準強制性交等

議決年月日:令和3年2月18日

議決要旨:

 上記被疑者に対する住居侵入、準強制性交等被疑事件(横浜地方検察庁 令和2年検第4811号)につき、令和2年8月27日上記検察官がした不起訴処分の当否に関し、当検察審査会は、上記申立人の申立てにより審査を行い、次のとおり議決する。

* 議決の趣旨: 本件不起訴処分は不当であり、いずれも起訴を相当とする。

* 議決の理由:
1.被疑事実の要旨
 被疑者は、令和2年6月10日申立人方に侵入し、同所において、同人が飲酒酩酊のために抗拒不能であるのに乗じ、同人と性交した。

2.検察審査会の判断
(1)被疑者は、住居不法侵入の上、泥酔で抵抗が出来ない状態であった女性に、それを利用して性交した事実に間違いない旨の供述に至り、その内容は具体的で信憑性があり、被疑者が当時、申立人が泥酔状態により抗拒不能であったと認識し、性交したと推認するのが自然である。
(2)これに対し検察官への「同意したと思ったが、今思えば申立人が反射的に答えただけだったかもしれないと思う。同意してくれたと思ったので、性交した。本当は同意していなかったのに、勝手に同意があると思い込んだのだと思う。」等の供述は、後から思いつく弁解と評価するのが合理的であり、これをもって、被疑者の申立人が泥酔状態により抗拒不能であったとの認識を疑うことはできない。
(3)申立人が申立人方に到着し被疑者の車から降りるのに時間を要していること、降りてから同人宅に入る様子は、帰巣本能における足取りと評価でき、泥酔状態にあったと考える。
(4)本件性交時に申立人が反射的に反応した事実があったとしても、それをもって、同意があったと誤信したと推認することはできない。仮にこれを認めるとしたらおよそ泥酔による抗拒不能の故意は認定できず、同事由に基く準強制性交等罪の成立は認めることができず、一般の常識に反するものである。
(5)申立人自身が本件被害時の行為を比較的詳細に認識していることをもって泥酔状態であったことを否定することは相当でない。経験則上、泥酔状態であっても後から断片的には記憶喚起できることは起こり得ることである。これをもって一連の泥酔状態を否定することは相当ではない。
(6)被疑者の犯行後の2回にわたる申立人方への来訪時の行動は執拗的であり、被疑者の本件犯行に対する軽率な認識等から出た行動と考える。
(7)被疑者は過去にも終電が終わった頃に女性に声を掛けて性交をしている。同様に本件において、申立人を認めるや声を掛ける機会をうかがっていたものであり、計画性、常習性がうかがえ、再犯のおそれがある。

以上、被疑者は申立人が泥酔状態であることを認識して性交しているのであるから、抗拒不能であるのに乗じ、性交したと推認するのが、自然であり、他にこれを覆す合理的な事由はない。同様に申立人の同意を得ることなく同方に侵入したと推認すべきである。
 これと反する検察官の推認は常識に反し不合理である。
 よって、上記趣旨のとおり議決する。

                    令和3年2月18日 横浜第三検察審査会

006.JPG

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

ガッツ(がんばれ!)

この記事へのコメント