チンチロリン殺人事件? [横浜地裁川崎支部 平成19年(わ)第624号]

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・・・昨年の11月に川崎市川崎区内の居酒屋店で知人の暴力団組員を刺殺したとして、殺人の罪に問われた暴力団幹部の被告の公判が2月25日に横浜地裁川崎支部で開かれ、罪状認否で被告は「間違いありません」と起訴事実を認めた。
 冒頭陳述で検察側は、犯行動機について被告が捜査段階で「被害者のチンチロリンのやり方が悪かった」と述べていた事や、サイコロ賭博によって被告の舎弟が被害者に数百万円の借金を抱えていた事などを明らかにした。
 続く被告人質問で、殺意を持つに至った経緯を問われた被告は、サイコロ賭博に負けた舎弟が「くやしい、ぶっ殺してやりたい」と被告に訴えたのが発端であると釈明すると共に、稲川会内部での抗争の有無については「ありません」と明言した。
 被害者遺族の意見陳述を経て行われた論告で、検察側は「自己の激情に赴くままの犯行であり、本件に至る経緯・動機に酌量の余地無し。被害者を確実に殺害する為の準備行為を行っているなど、犯行態様は極めて悪質」として、被告に懲役20年を求刑。対する弁護側は、「賭博に関連して偶発的に発生した犯行であり、計画性は無い」として寛大な判決を求め、結審した。
 判決は3月12日に言い渡される予定。

(傍聴席)
 この日は、川崎支部では珍しく事前に傍聴券交付情報があった為、筆者も事件の内容について注目していた。
 発行された傍聴券は45枚。結局、定員割れしたので筆者も難なく傍聴する事が出来たのであるが、傍聴人の20人近くが暴力団関係者だった。被告は事件後、所属していた組から絶縁処分を受けているので、傍聴席に陣取っていた面々は被害者が所属していた組の関係者だった模様。
 ちなみに、被告は指定暴力団稲川会系小金井一家2代目本部長(しかも稲川会代表専務理事)だったとの事で、対する被害者は同じく稲川会系山川一家傘下の組(オギマ組?)の若頭という地位にあったらしい。要するに、暴力団組員同士の殺人事件であったが為に傍聴券が発行され、所持品検査まで行われた、という訳だ。

 事件は被告の妻が経営する居酒屋店内で発生したのであるが、それにしても、よりによって「サイコロ賭博」が発端で殺人事件に発展するとは、常人には理解し難いものがある。しかも被告と被害者は旧知の間柄で、元を辿れば被告が被害者の”兄貴分”だったらしいから、「被告の舎弟が被害者から罵声を浴びせられた」というだけで殺意を抱くとは、およそ考えにくい。
 その点についての被告の釈明には検事も疑問に感じたようであり、検事は「被害者の地位が上がって生意気になったのか?」と被告に尋ねた。それに対する被告の答えは「酒を飲んでいて博打をやると過ぎる事があった」というものだった。

 裁判官にも「暴力団に所属していなかったら起きなかった?」と尋ねられたものの、「暴力団とのつながりは関係ありません」と答えるのみ。結局、犯行動機は今一つ判然としないまま、被告が殺人を行ったという事実のみが確認されて全ての審理は終了した。

 被告は傷害罪で執行猶予中の身の上でもあった為、情状酌量の余地は乏しく、長期の服役を余儀無くされるのはほぼ間違いない。公判の最後、被告は「今の私は、ただお詫びするしかありません」と遺族に謝罪を意を表したが、今回の事件のツケは被告の今後の人生に重くのしかかって来る事だろう。

(追補)
 報道によれば、本事件の判決公判が3月12日に開かれ、加登屋裁判長は「反社会的な論理に基く動機に酌量の余地は無い」などとして被告に懲役14年を言い渡した、との事。
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