きょうの判決(11月18日・東京高裁/東京地裁)

・・・この日は、筆者も久し振りに東京高裁・地裁の公判を傍聴する事が出来た。ちなみに、下記の④では開廷前に法廷通訳が書記官に具体的な判決内容を確認した為、言い渡し前に「控訴棄却」が分かってしまうという珍事があった。

①事件番号:令和2年(う)第1137号
 罪 名:詐欺
 判 決:控訴棄却(未決勾留日数80日算入)
 担 当:藤井裁判官(合議)
 概 要:被告は総務省職員と身分を偽って女性4人と結婚を前提に交際し、電話やメール等で現金412万円をだまし取るなどした。弁護側は量刑不当を主張していたが、判決理由の中で藤井裁判長は「2名に66万円の被害弁償をしている事などを相応に考慮しており、原判決が重過ぎて不当とは言えない」などとして、一審の実刑判決(懲役3年)を支持した。

②事件番号:令和2年(う)第603号
 罪 名:暴力行為等処罰に関する法律違反
 判 決:破棄自判 無罪
 担 当:中里裁判官(合議)
 概 要:神戸山口組系の暴力団組長の被告は、昨年5月に大阪府内またはその周辺で、組を脱退しようとした舎弟分の男性を脅迫した。判決理由の中で中里裁判長は、「被害男性の証言の信用性を認めた原判決は、看過出来ない証言の信用性を過小評価するなど経験則に照らして不合理であり、是認出来ない」などと指摘。その上で、「被害男性と、男性と交際していた女性が虚偽供述をしていたのが濃厚で、脅迫の事実を認めるのは困難」として、被告に逆転無罪を言い渡した。

③事件番号:令和2年(う)第1262号
 罪 名:建造物侵入、窃盗、傷害
 判 決:控訴棄却
 担 当:藤井裁判官(合議)
 概 要:被告は4箇所の会社事務所へ侵入して現金合計288万円余を盗んだ上、妻を殴って全治15日間の怪我を負わせた。弁護側は量刑不当を主張していたが、判決理由の中で藤井裁判長は「被害者へ被害弁償をして示談を成立させた点などは原判決も量刑にあたって相応の考慮をしている。本件では5ヶ月間に4回にわたって侵入盗を繰り返し、犯行には手馴れた様子が認められるなど犯情は悪い。同種事犯の前科もあり常習性が認められ、私的な諸事情を考慮するのにも限界がある」などとして、一審の実刑判決(懲役1年10ヶ月)を支持した。

④事件番号:令和2年(う)第1022号
 罪 名:強制性交等未遂
 判 決:控訴棄却(未決勾留日数100日算入)
 担 当:若園裁判官(合議)
 概 要:被告は昨年10月に自宅で14歳の少女と性交しようとした。弁護側は事実誤認を主張していたが、判決理由の中で若園裁判長は「被害者供述の信用性を疑わせる事情は無く、『被告人が精神障害を発症するとは考え難い』とする主治医の証言は相当」などとして、一審判決を言い渡した。

⑤事件番号:令和元年特(わ)第3347号
 罪 名:民事再生法違反
 判 決:懲役2年6ヶ月・執行猶予4年
 担 当:下津裁判官(単独)
 概 要:民事再生手続中のアパレルメーカー(アートヴィレッヂ)で経理を担当していた被告は、会社経営者の男と共謀して16年5月2日~17年5月1日までの間に再生会社名義の預金口座から28回にわたり7億4千万円余を流出させ、債権者に不利益な処分をした。更に、犯行の隠蔽を図る為に預金通帳のコピーを切り貼りして債務者の書類を偽造するなどした。判決理由の中で下津裁判官は、「多数回にわたって多額の現金を流出させたもので悪質。第2の犯行も巧妙で、民事再生へ与えた影響も大きい」としながらも、「本件は共犯者の会社経営者が主導したもので、犯行への関与は従属的。各犯行を認めて100万円の被害弁償をしており、前科も無い」として情状酌量を認めた。

⑥事件番号:令和元年刑(わ)第3214号等
 罪 名:詐欺
 判 決:懲役6年(未決勾留日数250日算入)
 担 当:丹羽裁判官(単独)
 概 要:被告は仲間と共謀し、東京電力福島第一原子力発電所の重大事故に関する賠償金名目で金銭をだまし取ろうと目論み、12年12月25日~14年1月30日までの間、合計19回にわたって東電私書箱へ架空の売上を計上した請求書を送付するなどして現金2億9200万円をだまし取るなどした。判決理由の中で丹羽裁判官は、「飲食店経営者らに話を持ち掛け、多数の者が役割分担して行った組織性の高い犯行で、非常に高い非難に値する。被告人は主犯格と飲食店経営者を仲介する役割を担った上、報酬として合計2千万円を受領している」などとして、被告に実刑判決を言い渡した。

⑦事件番号:令和2年特(わ)第2261号
 罪 名:過失運転致死
 判 決:禁固1年4ヶ月・執行猶予3年
 担 当:家入裁判官(単独)
 概 要:被告は昨年12月に乗用車を運転して杉並区阿佐ヶ谷の交差点を直進した際に右方から来た自転車と衝突し、自転車に乗っていた女性(当時68歳)を死亡させた。判決理由の中で家入裁判官は、「現場交差点は見通しが困難なのだから徐行すべきだったのにも拘らず、右方の安全確認を怠ったという過失の程度は大きい」としながらも、「罪を認めて謝罪と反省の態度を示しており、これまで前科が無い」として情状酌量を認めた。
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