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help リーダーに追加 RSS 凶と出た「儲け話」? [横浜地裁川崎支部 平成21年(わ)第607号]

<<   作成日時 : 2009/11/22 23:59   >>

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・・・東京都港区のマンションで今年1月から4月の前後12回にわたり、医師の指示を受けずに不特定多数の客に大腸内カテーテルを挿入して腸内洗浄を行ったとして、保健師助産師看護師法違反の罪に問われた3人の被告に対する公判が11月20日に横浜地裁川崎支部で開かれ、罪状認否で3人の被告はいずれも起訴事実を認めた。
 冒頭陳述で検察側は、被告ら3人は01年から都内で腸内洗浄サロンを経営しており、総売上は1億2千万円余りに及び、4280万円の利益を得ていた事や、大腸カテーテルを挿入する際には医師の立会いが必要だったのを知っていながら、資金回収優先の為にそれを怠って開業していた事などを明らかにした。
 続く被告人質問で看護師の被告は、カテーテル挿入が医療行為だと思ってはいながらも「自分で出来る。安全装置があるので大丈夫だと思った」「通院歴のある人には主治医の診断を受けてから行っていた」などと釈明。一方で「専門職としての認識に甘さがあった」「社会性欠如の部分があったのは認める」と反省の弁も述べた。
 論告で検察側は、「被告らの行為は生命・身体に対する危険性が高く、悪質。約8年間も継続し、利益額も4千万円に上るなど、本件は常習的犯行の一環であり、刑責は重い」として、看護師と会社役員の2人の被告に懲役6ヶ月・罰金200万円を求刑。対する弁護側は、「腸内洗浄を行うに当たっては、可能な限りの対応をしており、実害を蒙った被害者は一人もいない」「長期の身柄拘束で事実上の制裁を受けている」として2人の執行猶予を求め、結審した。
 2人の被告に対する判決は12月1日(13:25〜)に言い渡され、途中で分離された経営者の被告の審理は12月2日(11:00〜)に行われる予定。
 
(傍聴席)
 筆者は19日に川崎支部へ出向いた際、公判予定表を確認した所、20日に「保健師助産師看護師法違反」という聞いた事もない罪名の公判が行われるのを知ってしまった。そこで、20日はいつも通り来週の公判予定を確認する為に午前は横浜へ出向き、午後に川崎へ、という算段で本事件を傍聴したのだが、それだけの価値がある内容でもあった。
 それにしても、川崎支部では本事件を筆頭に、過去にも弁護士法違反事件(本欄で紹介済み)といった珍しい事案が度々出て来るので、油断が出来ない。

 本事件の登場人物は、会社経営者の女と看護師でもある娘、そして経営者と親しい関係にある会社役員の男の計3人。
 元々、腸内洗浄を事業として行おうと話を持ち掛けたのは会社役員の男なのだが、この男はこの男で知人の業者から「健康器具」として勧められて一連の器材を購入したらしい。しかし、後にそれが医療器具だと聞かされ、医師の立会いが必要だと知ったものの経費面で難しいと判断。そこで結局、看護師の娘に実務を任せて見切り発車した、というのが事の真相のようだ。

 何しろ、こうしたものを事業として行っている所が当時は殆ど見当たらず、「やれば確実に儲かる」という計算も働いたのだろう。実際、この会社は「美容と健康に有効な方法」と方々に売り込んだのが功を奏し、顧客数は3700人にも及び、総売上高が1億2千万円を突破する程の人気を博したそうだ。
 しかも、顧客の中には現職の医師も数名含まれていたらしいから、被告らも問題点は十分認識していながら「走り出したら止まらない」とばかりに事業を継続した雰囲気も窺われる。

 しかし、折角の儲け話も専門家の指摘によって違法営業が発覚。これまでに投じた多額の資金を回収出来ずに頓挫してしまっただけでなく、看護師の娘と会社役員の男はあえなく「拘置所送り」になってしまったと言うのだから、何とも哀れな結末である。会社役員の男は「良かれと思ってやったら、逆の効果になってしまった」と法廷でうなだれていたが、最早「後の祭り」である。

 ただ、弁護側も再三強調していたが、以前は大学病院に勤務していた看護師の娘が専門的見地から対応していたからか、幸いにしてケガ人が出ておらず、実害と言えるような結果が生じていないのも事実であり、その点は量刑に反映されると思われる。後は、経営者の女がどういう釈明をするのかに焦点が絞られた、と言えよう。

 ちなみにこれは余談だが、審理が分離された経営者の弁護人は現職の国会議員だった。

(追補)
 一部報道によれば本事件の判決公判が12月1日に開かれ、阿部裁判官は2人の被告に懲役6ヶ月・罰金120万円・執行猶予3年を言い渡した、との事。

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