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・・・今年の8月に横浜市港北区の東急菊名駅構内で女性客に凶器を示して脅迫したとして、暴力行為等処罰に関する法律違反の罪に問われた被告の第2回公判が、10月10日に横浜地裁で開かれた。 この日は前回公判に引き続き被告人質問から行われ、検察側に今後似たような事があった場合の対応を問われた被告は「余程ひどい事でない限りは無視するようにする」と述べた。また、裁判所に被害者に対しての感情を問われると「相手に本当に怖い思いをさせてしまった」などと反省の意向を示した。 続く証人尋問には、被告の母が出廷。今から5年前、被告を病院に連れて行った理由を弁護側に問われると「何かにつけて人と上手くやっていけなかった。本屋で立ち読みをした時に、被告人がアスぺルガー症候群に似ていると思った」と証言。被告が実家に同居していた当時については「5年前に夫が家を出て行ってからは、被告人のわがままがひどくなった」「家庭内では毎日のようにいざこざがあった」「一日が殆どケンカで終わってしまう」などと振り返り、今後の生活については「住まいについては、(釈放される)その日にちゃんと住めるように部屋を探している」と述べるに止まった。 公判最後の論告で、検察側は「所持していたクシには十分な殺傷能力があり、犯行態様は危険で悪質。被告人の性格自体が直ちに和らぐとは考え難く、環境調整が現時点では十分とは言い難い」として、被告に懲役6ヶ月を求刑。対する弁護側は「被告人は以前からルールを守らない人に過敏に対応する傾向がある。事案そのものは突発的・偶発的で、本件は発達障害と無縁であるとは考えられない」などとして執行猶予を求め、結審した。 判決は10月20日(10:00〜)に言い渡される予定。 (傍聴席) 弁護側の情状証人として出廷した被告の母(証人)は、淡々とした口調で「(被告とは)一緒に住むつもりは無い」と言い切った。つまり、被告の今後の監督については困難であるとの認識を示したのである。 証人は続けてこうも述べた。「怖くて一緒には住めない。私達としては、もう成す術が無い」と・・・・・。 上述の通り、本事件そのものは「被告が駅で女性客に凶器を示して脅した」というものであり、暴行や傷害には発展していない。しかし、事件の背景に潜んでいる被告の障害度合いや、それを取り巻く家族関係は、事件以上に深刻な状況であった。 証人尋問で証人が明らかにした所によると、被告は小学校低学年から学習障害の兆候が見られた為、一旦病院で診断してもらったものの、「当時は異常無し、との診断だった」との事。これは、診断した担当医師若しくは病院側の「広汎性発達障害(アスぺルガー症候群)に対する認識不足」が背景にあったとも考えられ、それによって家族は被告の理解不能とも思える行動に長年振り回されてきたようである。 証人はこれまでを振り返り、「厚い本が一冊書ける位に色々とあった」とも述べていた。何しろ、06年に被告が家を出た理由も「テレビのチャンネル争いだった」という位だから、些細な事で被告が怒り出し、証人や妹に狼藉を働く事も珍しくなかった様子が窺える。 ただ、これを被告の立場から捉えると「周囲の人が自分に対してあまりにも無理解だから、それが許せなくて暴走した」という事を意味するのかも知れないし、弁護人も最終弁論で指摘していた通り、まさに本事件はそうした被告の障害の延長線上にあったと考えるのが妥当であると言えるのではあるまいか(注)。 いずれにせよ、本事件は被告のような一見すると分かりにくい障害をもった人々と社会内でどうやって折り合いをつけていくのか、という重い課題を我々に突きつける内容であった事は間違いない。 ちなみにこの日の公判は、証人尋問が予想以上に長引き、全体で50分の予定が1時間30分にも及んだ。しかも、弁護側が当初求めていた証人尋問後の再度の被告人質問を「対立感情を煽るだけなので・・・」との理由で見送ったのにも拘らず、である。 (注)筆者も広汎性発達障害についての知識が殆どないので断定は出来ないのだが、05年12月に京都府宇治市で発生した「塾講師による教え子(女児)殺人事件」の被告も同様の障害を持っていたと言われており、やはりこの被告も家庭内暴力を繰り返していた、との話がある。 |
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