地裁の小窓 ー傍聴最前線ー

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS 遅々として進まぬ「審理」(3) [横浜地裁 平成20年(わ)第512号等]

<<   作成日時 : 2008/09/03 00:08   >>

トラックバック 0 / コメント 1

・・・今年の3月に海老名市内の100円ショップで靴下を盗もうとした上、それを咎めた警備員に噛み付いて暴行を加えたとして窃盗・傷害などの罪に問われた被告の第5回公判が、8月27日に横浜地裁で開かれた。
 この日は昨年10月に京都府城陽市で起こした窃盗事件についての追起訴分の審理が行われ、罪状認否で被告はいずれの起訴事実も認めた。
 被告人質問で、弁護側から窃盗の余罪について問われた被告は「30数回やった」と述べると共に、「(刑務所を出所後に)何回か努力して仕事を探したが、保証人がいない、住所が無い等の理由で勤める所が無かった」などと釈明。その後も弁護側や裁判官からの尋問には、涙ながらに自身のこれまでの半生を訴える一幕もあった。
 続く論告で検察側は、合計10件の犯行について「金欲しさの為の犯行であり、動機・経緯に酌量の余地は無い。最早更生の可能性が乏しい以上、再犯の恐れは極めて大きい」として、被告に懲役6年を求刑。対する弁護側は「被告人は浪費目的で窃盗した訳ではなく、余罪についても全てを申告している。また、被告人の生育歴には同情の余地がある」として裁判所に寛大な判決を求め、結審した。
 判決は9月11日(11:00〜)に言い渡される予定。

(傍聴席)
 本事件の公判は、5回目にしてようやく被告人質問に辿り着く事が出来た。そして、ようやく「中学校中退」という被告の経歴の意味も明らかにされた。

 被告は子供の頃、貧しかったが故に小学校を不登校となり、それを理由に精神病院に放り込まれたらしい。精神疾患に罹患していたかどうかに拘らず、である。
 結局、被告は中学校はおろか小学校さえも満足に通った事は無いようだ。被告曰く「刑務所に行って勉強する事が出来た」という絶望的とも思える境遇では、健全な社会生活を営むことさえ困難だったと言わざるを得ない。

 被告人質問では、涙ながらに切々と訴え続けた。「やっぱりどうしても負い目とか・・・立ち直る事が出来んかったです」「(盗みに)抵抗はある。働ければ働きたい。自分が一番悪い」「20なんぼで精神病院を飛び出して、働いたのは5年位・・・何の為に生きて来たのだろうと・・・本当に何にも面白くなかった」等々と。

 こうなってくると、流石の村上裁判官も被告にかける言葉が見つからないようで、「そう家族を切り捨てるなよ、と・・・やっぱり陰ながら心配なのさ。・・・無責任な事は言えないけど、君を見限っている訳ではないと思うよ。あんまり家族がどうかとは責めない方がいいよ」と言うのが精一杯だった。

 被告は今回も間違いなく有罪判決を受け、刑務所に服役するだろう。出所後の事について被告は「姉さんと相談してアルバイトを探す。それしか残された道は無いです。もう悪いことはしたくない」とも述べていたが、本当に実家に戻れるのか、仮に戻ったとしても仕事を見つける事が出来るのか、という点を冷静に考えると、前途は暗い。
 模範囚として仮出所を果たしたとしても、もうその時点で被告の年齢は60を超えているのだから、こうなると被告の場合、とにかく定住先を見つけて公的保護を受ける以外に選択肢は無いような気がしてならない。


 

設定テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
本事件の判決公判が9月11日に開かれ、村上裁判官は被告に懲役4年6ヶ月の実刑判決を言い渡しました。
判決主文を言い渡した後、村上裁判官は「あまり言う事は無いけど、一つだけ言わせてもらうと」と前置きした上で、「自分の生い立ちのせいなんかにして、投げやりな人生だとは思わないか?・・・人生ってそんなもんじゃないと思うよ」「悪い事ばかりじゃないだろう・・・きっと良い事があるだろう、君が見つけなきゃダメだ」などと被告に語り掛けていました。
執筆者
2008/09/11 22:58

コメントする help

ニックネーム
本 文